超高齢社会の課題解決 介護・健康長寿テーマの展示会報告

 

 

東京ビッグサイトで開かれた「東京ケアウィーク」という催しに行ってきました。75歳以上の後期高齢者が急増中(2017年が1747万人、2025年には2180万人に達すると推計される)で、こうした環境の変化に対応するには、国や自治体はもとより民間企業、学会も含めたあらゆる方面の力を結集する必要があるという認識が社会全体で共有されつつあるようです。この催しにも数多くの企業や団体等が出展し、最新の取組みを公開していました。目についたものをいくつか紹介したいと思います。

ファスティング旅館:コーポラティブハウスなどを手掛ける不動産会社が地方創世プロジェクトの一環で福岡県内にオープンしました。周囲はお遍路の地でもありましたが、年々参拝者が減り続け、お遍路宿も激減していたことが背景にあったようです。お遍路宿の一つだったこの旅館をファスティング旅館として生まれ変わらせることで「観光事業の再生」「心と体の健康づくりの具現化」「町民コミュニティの活性化」を図っていき、地元自治体や観光協会との連携で事業を進めています。空腹には、若返り効果もあるようです。旅館では、ファスティングの他にもハンモック瞑想や森林セラピーなどのメニューを揃え、「生活習慣を見直すお手伝いをする場所」としての位置づけで稼働率を上げています。ターゲットは、高齢者の他にも健康・美容意識の高い女性、メンタルヘルスケアに力を入れる企業、日本文化に触れるのを目的とする外国人など。

誤薬防止システム:某自治体の統計によると、介護施設の事故で最も多かったのが「誤薬」だったとのことです(以下、骨折、打撲、裂傷・・)。誤薬のほとんどは、渡し間違えや渡し忘れといった人為的ミスが原因のようです。このシステムは、各種介護事業を展開する企業が、自社で運営する介護施設での経験をもとに開発しました。渡す薬をシステムでチェックして渡し間違えを防止し、チェックした結果をシステム内に詳細に記録することで服薬漏れも確認できます。実際に導入している大手ハウスメーカーグループの有料老人ホームを運営する企業では、入居者の起床時や入眠時といったスタッフの少ない時間帯に、服薬介助をする際のチェックツールとして有効活用しています。

これらの他にも、大学と企業が共同で開発した腰痛を可視化するウェアや生活音などの音響分析による見守りサービス、AI、IoTを駆使したソリューションなど、数多くのサービスに触れることができました。いずれは、このような取組みをまとめて本にできれば・・・と考えます。